図形変換「しかくが まるに なるきまり」
もんだい
左の えを みてください。おなじ きまりで、右の えは どう なるでしょう。したの えから えらんで、〇を つけましょう。
こたえ
なかに しろい じゅうじ(+)が はいった まる
かいせつ(おうちのかたへ)
この問題の「きまり」は2つあります。①しかくがまるに変わる、②なかのもよう(白い形)はそのまま残る、の2点を同時に捉える必要があります。
最も引っかかりやすい誤答は「まる・じゅうじせん(after と同じ装飾を使ってしまう)」と「しかくのまま・じゅうじ(形を変えていない)」です。前者は after の装飾を「答え」と勘違いする典型的な誤りです。
出題背景と育つ力
小学校受験の推理分野では、左の見本の形が右で別の形に変わるとき「どんなきまりで変わったか」を見抜き、新しい形に同じきまりを当てはめる出題がよく見られます。この問題はその中でも、しかくがまるに変わるという形の変化と、なかの白いもようはそのまま残るという装飾の保存を、ひとつの絵のなかで同時に処理しなければならない複合タイプです。見本では正方形のなかの四分円のもようが、円に変わってもそのまま残っていました。だから問いの正方形+白い十字も、まるに変わったうえで十字はそのまま残る、というのが答えの理屈になります。難易度がチャレンジに設定されているのは、変化する属性と変化しない属性を切り分け、その両方をひとつの答えに同時に反映させる必要があるからです。
このタイプで育つのは、ひとつの絵を「形」「なかのもよう」という複数の見方に分解し、それぞれを別々に追いかける分析的な目です。さらに、見本で見つけたきまりを別の絵にそっくり移しかえる類推の力も同時に鍛えられます。これは推理分野だけでなく、系列や置き換え、数の規則性など受験全体を支える土台になる思考力で、小学校以降の算数の文章題や図形問題にもつながっていきます。
よくあるつまずき
この問題でいちばん多いつまずきは、見本の右側にあった四分円のもようを、そのまま答えに持ってきてしまう間違いです。選択肢のなかの「まる+四分円」がこれにあたります。子どもは見本の後ろの絵を強く印象に残しやすく、問いのもよう(白い十字)ではなく見本のもよう(四分円)を選んでしまうのです。きまりは「もようの種類をそろえる」ことではなく「もとのもようをそのまま保つ」ことなのですが、ここを取り違えると四分円のほうに手が伸びてしまいます。
次に多いのが、形を変えないままにしてしまう間違いです。「しかく+十字」を選ぶ子は、なかの十字には正しく注目できているのに、しかくがまるに変わるというもうひとつのきまりを見落としています。逆に「まる+ふち取り」のように、形は正しく変えられても、十字というもようを別の簡単なもように置きかえてしまう取り違えもあります。これは2つのきまりを同時に持ち続けるのが難しく、片方に気を取られるともう片方がこぼれてしまう、年中から年長にかけての発達段階によく見られる現象です。
この時期の子どもは、目立つ一点に注意が引っぱられやすく、複数の条件を頭のなかに並べて保つこと自体が発達の途中にあります。ですから2つのことを同時に追えずに片方だけで答えてしまうのは、注意力が足りないというより、まさにこの問題で伸ばそうとしている力がこれから育つところだと受けとめてあげてください。
家庭での声かけ例
まずは答えを急がず、見本の左と右を指でさしながら「ひだりは しかくだね。みぎは どんな かたちに なった?」と、形の変化だけを先に言葉にさせてあげてください。「まるに なった」と言えたら、次に「じゃあ なかの しろい もようは どうなった?」ともよう一点に絞って見させます。この問題のきまりは形ともようの2つなので、いっぺんに聞かず、一度に一つずつ取り出すのがつまずきを防ぐいちばんの近道です。
きまりを2つ確認できたら、いよいよ問いの絵に移ります。「みぎの しかくの なかには、なにが はいってる?」と聞いて「じゅうじ」「ばってんみたいなの」と本人の言葉で答えさせ、「その じゅうじは のこるんだったね。かたちは まるに かわるんだったね」と、さっき見つけた2つのきまりを子ども自身の口で言わせてから選択肢を見比べさせます。見本のもよう(四分円)につられそうなときは、「これは みぎの えの もよう? それとも ひだりの みほんの もよう?」と問い返すと、自分で気づきやすくなります。
正解できたら「かたちは かえて、なかの じゅうじは そのまま のこせたね」と、2つのきまりを両方こなせたことを具体的にほめてあげてください。もし四分円を選んでしまっても、「もように よく きが ついたね。あとは どのもようを のこすかだね」と、できている部分を先に認めると、安心して考え直せます。慣れてきたら、紙に正方形と丸を描いて、なかのもようだけ親子で描き分けてみる遊びにすると、形ともようを別々に動かす感覚が手を通して身についていきます。
れんしゅうのポイント
- 身につく力:複合的な類推力・多属性変換の処理
- 教え方のコツ:「みぎのえは、かたちが どうなるの? なかのもようは?」と2点に分けて考えさせましょう
- ステップアップ:色・大きさ・向きが同時に変化する問題へ