一筆書き「ひとふでがきで かけないのは どれ?(田の字編)」
もんだい
ひとふでがきで(えんぴつを はなさないで) かけ"ない"のは どれかな?
この問題の図: 4つの図形の中から、一筆書きで書け"ない"ものを選ぶ逆問い問題。田の字が一筆書き不可能な典型例だと体得します。 図を見て、下の選択肢から答えを選んでください(音声で問題文を聞くには「よみあげ」ボタン)。
こたえ
みぎした(たのじ=しかくの 中に じゅうじ)
かいせつ(おうちのかたへ)
田の字は4つの辺の中点で線が3本ずつ集まり、奇数(3)の点が4つあるため、一筆書きが原理的に不可能です。一方、三角・四角・8の字は一筆書きが可能。「書けない」を選ぶ逆問いで、これまでに身につけた一筆書きの感覚を逆方向から確認します。
出題背景と育つ力
一筆書きは、小学校受験では「鉛筆を紙から離さず、同じ線を二度なぞらずに、ひと続きで書けるか」を判断する図形問題として出されます。多くは「書ける形を選ぶ」素直な問い方ですが、この問題はそれをひっくり返した逆問い、つまり「書けないものを選ぶ」形になっています。選択肢は三角、四角、8の字、そして田の字(四角の中に十字)の4つで、前の3つは一筆書きができ、田の字だけができません。年長の標準レベルらしく、ただ書けるかどうかを試すのではなく、「できる」と「できない」を反対方向から見分ける一段深い見方を求めています。
ここで育つのは、手を動かして試した結果を頭の中で整理し、条件に合うものを選び取る論理の力です。田の字は四つの辺の真ん中で線が三本ずつ集まり、その奇数の集まりが四か所もあるために、どこから始めても必ず途中で行き止まりになります。お子さんはこの体験を通して、「形をよく見ると、書ける書けないが見た目だけでは決まらない」という発見に出会います。手先で確かめる経験と、頭で考える経験が結びつく、まさに図形分野らしい力が伸びる問題です。
よくあるつまずき
いちばん多いつまずきは、田の字を一目見て「四角と十字でできているから簡単そう」と感じ、書けると思い込んでしまうことです。年長さんの目には、知っている形が組み合わさっているほど「やさしい」と映りがちで、複雑そうな8の字のほうをかえって「書けない」と選んでしまうことがあります。この問題が逆問いであることも相まって、「書けない」を探しているのに、つい「いちばん難しそうなもの」を選んでしまう取り違えが起こりやすいのです。
次に多いのが、田の字を実際になぞってみたものの、無意識に同じ線を二度通ったり、鉛筆を一度持ち上げてしまったりして、「書けた」と勘違いするパターンです。この年齢では、自分の鉛筆がどこを通ったかを最後まで覚えておく力がまだ育ちきっていません。とくに田の字は中の十字で線が交わるので、交差点まで来ると、どの方向にまだ進んでいないかが分からなくなり、知らないうちに通った道を戻ってしまいます。「書けた気がする」のに実は二度なぞっている、という見落としが正解を遠ざけます。
逆に、田の字が正しく書けないと気づいても、消去法の途中で投げ出してしまう子もいます。三角・四角・8の字を一つずつなぞって確かめる作業は手間がかかり、二つ目あたりで飽きてしまうと、残りを確かめないまま当てずっぽうで答えてしまいます。最後の一つまで丁寧に試す根気が、この問題では正解と直結します。
家庭での声かけ例
まずは「書けないものを探す」という問題のねらいを、はじめにそっと確認してあげてください。「今日はね、ひとふでがきで書けない仲間はずれを見つけるんだよ」と一言添えるだけで、いちばん難しそうな形に飛びつく取り違えをぐっと減らせます。そのうえで、いきなり答えを当てさせず、「じゃあ左から順番に、ほんとうに書けるか指でなぞってみようか」と、消去法の手順そのものを声に出して導いてあげましょう。三角、四角、8の字を一つずつ指でなぞって「書けたね」と確かめていけば、最後に田の字だけが残ります。
田の字を試すときは、鉛筆ではなく指で何度かなぞらせて、「あれ、どこかで戻っちゃうね」「同じ道をもう一回通っちゃった」と、行き止まりになる感覚をお子さん自身に発見させてあげてください。大人が「これは書けないよ」と先に言ってしまうより、「ほんとに書けるかな、やってみて」と任せたほうが、納得が深く残ります。失敗してもよい場面なので、何度でも自由に試させてあげましょう。
最後に余裕があれば、「どうして田の字だけ書けないんだと思う?」と理由をたずねてみてください。辺の真ん中の点を指さして、「ここ、線が何本集まってる?」と一緒に数え、三本ずつ集まる点が四つもあることに気づけたら大成功です。理由まで言葉にできた経験は、次に初めて見る形に出会ったときにも、「線の集まる点を数えてみよう」という確かな手がかりとして生きてきます。
れんしゅうのポイント
- 身につく力: 「できる/できない」を逆方向から判断する論理力
- 教え方のコツ: まず3つを指でなぞって書ける確認、残った1つが書けないとわかる消去法
- ステップアップ: 「なぜ田の字は書けないか」を線が集まる点の数で説明してみる